縁結びの神様と神社とお寺の話

  • 2015/1/14
  • 更新:2015/09/08
多賀大社

縁結びやパワースポットという言葉があります。

そのほとんどは、神社やお寺をさします。

ところで、神社とお寺は、何が違うのかよく分かっていない人が多いかと思います。

宗教心が薄い日本人は、クリスマス(キリスト教)を祝い、除夜の鐘を聞き(仏教)、初詣(神社)に行ったりするので、外国人からは不思議がられるようです。

神社とお寺の違い

いろいろ複雑な事情や歴史があり、いろんな専門家達の間で議論されているようで、これが正解だ、というのはありませんが

簡単にいうと

  • 神社は日本古来の神様を祀っている建物
  • お寺は仏教(お釈迦様)に関連する建物

のことです。また

  • 鳥居があるのが神社(神道)
  • 仏像があるのがお寺(仏教)

です。

神社(神道)と仏教の始まり

日本ではもともと、太陽や雨、雷、風、嵐や洪水などの自然現象、火や水、木、石、山や火山、地震、など、身の回りのあらゆるものに神を感じ、八百万(やおよろず)の神と言われており、それが神道のもとになっています。

他の宗教では神は唯一ですが、日本の神は身の回りのあらゆるところに存在するという考えです。
その神々の話が、後に古事記と日本書紀にまとめられています。

一方、仏教はインドで生まれ、中国を経由し、日本に入ってきます。
当然、新しい宗教が入ってくると抵抗に合いますが、仏教を広めようとした人達が「日本古来の神と仏は同一のものであり、姿を変えたもの」として、神仏習合(しんぶつしゅうごう)の考えが出てきます。

つまり、日本古来の神と仏教が融合する訳です。

これが、1,000年以上たった江戸時代から明治に入り、神仏分離(しんぶつぶんり)で、明確に分けられるようになったそうです。

神社とお寺の違いがよく分からないのは、こんなところに理由があるのかもしれませんね。

かなり大雑把ではありますが、神社とお寺の違いが、なんとなく分かったのではないでしょうか?

3分で分かる日本の神話

一般的に縁結びといわれているのは、神社のほうです。
そして、日本古来の神様に由来していることがほとんどです。
その話は、古事記に書いてあります。

簡単に説明すると…

 神々の時代

まず、高天原(たかまのはら・天上界)と中つ国(なかつくに・地上)が出来、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)が生まれ
次に、高御産巣日神(タカミムスビノカミ)と、神産巣日神(カミムスビノカミ)が生まれますが、すぐに姿を隠します。
この3名の神を造化の三神(ゾウカノサンシン)と言い、その後7名の神が生まれます。
ここまでは、特定の姿を持たない神です。

その後、男女対になって、いろんな神が生まれ、最後に伊邪那岐命(イザナキノミコト・男性)と伊邪那岐命(イザナミノミコト・女性)が生まれます。

国生み・神生み

イザナキとイザナミが地上におり、ドロドロの海をかき混ぜて島を作り、そこで結婚しますが、子どもが生まれず、上手くいきません。

結婚のやり直しをし、子ども(神々)を生みますが、最後に火の神を生み、その時の火傷が原因で、イザナミは亡くなりました。

イザナキは黄泉の国に行き、イザナミを取り返しに行きます。

イザナミは帰れるように黄泉の国の神に話してみるけど、その間、私の姿を見てはならないと言いますが、約束を破り、見てしまいます。

イザナミは醜い姿になっており、私に恥をかかせた、といって怒り、2人は喧嘩別れをします。

天照大御神(あまてらすおおみかみ)の誕生

黄泉の国からもどったイザナキは、水で体を清め

  1. 天照大御神(アマテラスオオミカミ)
  2. 月読命(ツクヨミノミコト)
  3. 須佐之男命(スサノオノミコト)

が生まれます。
※以後、アマテラス、ツクヨミ、スサノオと書きます。

アマテラス(女性)は高天原をおさめ、スサノオは海原、ツクヨミは夜(月)の国をおさめます。
アマテラスは、天を照らす、という名前から分かるように、太陽の神でもあります。

悪さをするスサノオ

スサノオは海原をおさめず、母親のイザナミに会いたいと泣き続けます。
怒ったイザナキは、スサノオを追い出します。

スサノオは出て行く前に、アマテラスに挨拶に行きますが、アマテラスはスサノオが高天原を奪いに来たと思い、身構えます。

スサノオは誤解を解くため、互いの持ち物を交換し、それから子どもを生んで判断しよう、と言います。

アマテラスはスサノオの剣から、3人の女神を生み、スサノオはアマテラスの首飾りから5人の男神を生みます。

これにより身の潔白を証明したスサノオは、高天原で堂々と乱暴のやりたい放題です。

悲しむアマテラス

それを悲しんだアマテラスは天の岩屋戸(あまのいわやど)という岩に隠れ、世の中が暗くなってしまいます。

困った神々が協力し、勾玉や鏡を用意し、岩屋戸の前で他の神達が宴会を始めます。

気になったアマテラスがそっと戸を開け、外をのぞいたところ鏡を見せ、さらに鏡を見ようと出てきたところを引っ張り出し、再び世の中が明るくなりました。

中つ国の出雲の国に追放されたスサノオ

乱暴者のスサノオは、出雲の国に追い出されてしまいます。

そこで、クシナダヒメに会いますが、ヤマタノオロチという化け物の生贄(いけにえ)になるとのこと。

スサノオは、ヤマタノオロチを退治するから、クシナダと結婚したいと申し込みます。
そして、ヤマタノオロチを退治し結婚し、出雲の国をおさめます。

ヤマタノオロチの体内から草薙の剣(くさなぎのつるぎ)が出てきて、アマテラスに献上します。

出雲大社の神

時が過ぎ、オオナムジノカミという神が、兄弟たち(八十神/ヤソガミ)と一緒に、ヤガミヒメに求婚するために旅をしていました。
オオナムジは、穏やかで優しい性格をしていたため、兄弟たちにこき使われ、イジメられていました。

途中、泣いている因幡の白うさぎに会いました。
理由を聞くと、隠岐の島からワニ(サメ)背中にのって渡ってきたが、騙されたと知ったワニサメが怒り、ウサギの毛皮を剥いでしまいます。

オオナムジはウサギを助けてあげますが、ウサギはヤガミヒメはオオナムジと結婚するでしょう、と言います。

ウサギの言うとおり、オオナムジとヤガミヒメは結婚をしますが、兄弟たちのヤソガミの激しい嫉妬を受け、さらに意地悪されます。

2度程殺されますが、他の神の助けもあり、その度に生き返り、スサノオに助けを求めに行きます。

そこでスサノオの娘のスセリビメに一目惚れし、求婚します。
スセリビメの助けを得ながら、スサノオの課題をクリアしていき、許しを得ます。

スサノオは、自身の武器を渡し、これからは大国主命(オオクニヌシノミコト)と名乗り、中つ国を治めよ、その武器で兄弟たちを退けよ、と言います。

国譲り

オオクニヌシは、他の神の助けを得ながら、豊かな国を作っていき、その噂は高天原のアマテラスにも届きます。

中つ国の正当な後継者はアマテラスの直系でないといけない、と思ったアマテラスは、他の神々を何度も中つ国に派遣しますが、私には無理だという神や、オオクニヌシの人柄に惚れ、寝返った神など、上手くいきません。
最後に強行手段で建御雷之男神(タケミカヅチ)という、雷や剣の神を遣(つか)わします。

オオクニヌシは、私一人では決められないので、他の神が賛成したら良い、と言います。

タケミカヅチは、腕力で説き伏せ、オオクニヌシも「神殿(出雲大社)を作って欲しい」という条件で、国譲りを了承します

天孫降臨(てんそんこうりん)

そこで、アマテラスの孫の瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)に、三種の神器(鏡・勾玉・草薙の剣)を渡します。
勾玉と鏡は、岩屋戸の際に作られ、剣はヤマタノオロチ退治時のものです。
この神器を歴代の天皇が継承していきます。

ニニギはまだ子どもだったため、他の大勢の神々と共に、高千穂に降ります。

ニニギが大きくなったある日、美しい木花咲耶姫命(コノハナサクヤビメノミコト)に会います。
一目惚れしたニニギは、結婚の許しを得るため、コノハナサクヤビメの父親(オオヤマツノカミ)に挨拶に行きます。

喜んだ父親は、姉のイワナガヒメも一緒に嫁にもらってくれ、と言いますが、醜いので断ります。

イワナガヒメを嫁にもらってくれれば、岩のように永遠の命が手に入ったのに、コノハナサクヤビメだけだと、花が咲きほこるように栄えるが、花のようにはかないものになるだろう、と言います。

木花咲耶姫命

結婚してすぐに、子どもが出来ましたが、早すぎるので、ニニギは自分の子どもなのかと浮気を疑います。

怒ったコノハナサクヤビメは、中つ国の神々との子なら無理だけど、天つ国(高天原)のニニギの子は神の子。
神の子ならば死ぬことは無いでしょう、と産屋に火を放ち、そこで出産します。

無事に三名の子が生まれ、ニニギは謝ります。

海幸彦と山幸彦

その子供のうち、2人は火照命(ホデリノミコト/海幸彦・兄)と、火遠理命(ホオリノミコト/山幸彦・弟)といいました。
ある時、山幸彦のホオリが海幸彦の釣り道具を借り、釣りをしますが、針を無くしてしまいます。
針を探していると、龍宮城を見つけます。

ホオリは、そこのトヨタマビメに恋をし、結婚をし、龍宮城で数年が経ちました。
そして釣り針を見つけ、返しに行こうとしますが、トヨタマビメの父親、ワタツミノカミから二つの玉をもらいます。
いつか兄と戦うことになる時は、この玉を使いなさい、と。
そして、サメに乗って地上に戻ります。

そして釣り針を返すのですが、兄と喧嘩するようになり、ついに戦うことになりました。

その二つの玉の力で、兄の海幸彦は降参し、山幸彦・ホオリノミコトに従うことになり、争いはなくなりました。

トヨタマビメとの子供

その後、龍宮城からトヨタマビメがやってきて、子どもができたので出産したいとのこと。

海岸に産屋を建てますが、完成する前に産気付き、ホオリノミコトに、お願いをします。
出産している時は元の姿に戻ってしまうので、見ないで欲しいと。

見るなと言われると見たくなるお約束通り、ホオリは見てしまいます。

その正体はサメでしたが、見られて恥ずかしくなったトヨタマビメは、海の中に帰ってしまいます。

その時に生まれた子は、鵜葺草葺不合命(ウカヤフキアエズノミコト)といいます。

トヨタマビメは、産んだ子を心配し、妹の玉依毘売命(タマヨリビメ)に様子を見に、地上に行かせますが、その後タマヨリビメとウカヤフキアエズノミコトは結婚し、四人の子どもを生みます。

その内の一人、イワレビコノミコトが高千穂より東に行き、初代・神武天皇となります。

神社の縁結びやご利益の由来

いかがでしょうか?この世界が出来てから、神々が生まれ、初代天皇となり、現在に続くわけです。

例えば、アマテラスオオミカミは、伊勢神宮(三重県)、オオクニヌシノミコトは、出雲大社(島根県)。

アマテラスやスサノオの親で、最初の夫婦である、イザナキやイザナミは多賀大社(滋賀県)や伊弉諾(いざなぎ)神宮(兵庫県・淡路)。

スサノオノミコトと、クシナダヒメは、八重垣神社(島根県)に祀られています。

出雲のスサノオ、クシナダ、オオクニヌシは、氷川神社(大宮氷川神社・埼玉県)にも祀られています。

国譲りの時のタケミカヅチ(雷と剣の神)は、鹿島神宮(茨城県)。

ニニギとコノハナサクヤビメは、霧島神宮(鹿児島県)や、箱根神社(神奈川県)などに祀られています。

コノハナサクヤビメは、浮気を疑われ、身の潔白を証明するために産屋に火を放ったことから、愛を誓う縁結びや安産、火に関連する富士山本宮浅間大社(静岡県)の主祭神でもあります。

縁結びの神社の入り口には、主祭神が書いてある立て札があります。

その名前を見て、神々の物語に思いを馳せるのも良いのではないでしょうか。

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